再会は突然に
「なんでもない!」


目が合うなんて思ってもなかったから焦った。そのおかげで心臓はバクバクし続ける。
私このままだと心臓発作とかで死ぬんじゃないかな・・・。


結局大希は私のアパートの前まで送ってくれた。
金曜日はタクシーで帰ったらしいが、既に道は覚えていて、見知った道を歩くようだった。


「一個聞いていい?」


そう大希に聞かれたのは、アパート前でどうさよならをしたらいいか悩んでいる時だった。


「何?」
「ここに住んでから何も起こってない?」


・・・え?その言い方、まるでこのアパートが何か出るみたいな感じだ。
まさか。


「え、大希って霊感とかある?」


そう怖々と聞けば、大希は一瞬何のことか分からないといった表情を見せたが、すぐに「あぁ違う違う」と笑った。


「駅からここまで結構暗いし、人通りも思ったより少ないから誰かに変なことされてないかってこと」


な、なんだ実際に存在する方でってことか。
てっきり存在しない方を考えてしまった。
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