再会は突然に
なんとかギリギリに食べ切り、無事午後の業務に取り掛かることが出来た私は総務のある3階ではなく5階の給湯室に向かっていた。

運悪く3階の給湯室で、誰かがコーヒーの入ったコップを大量に落とし悲惨なことになっており、使うなら別階を使えということになった。4階は女性社員の憩いの場と化していて、小心者の私は入ることが出来ず5階まで来ていた。


「部長に言われなかったらこんなとこまで来ないのに・・・」


そう独り言をこぼすのには理由がある。
5階は営業や企画など、社内のエリートが集まる部署があり男女ともにキラキラしていて、苦手意識があった。業務上でも出来れば避けたい階で、だからこそ今回は気分が重く、愚痴とも取れる独り言をこぼしてしまった。

こうなったら5階が空いていることを願うしかない。

そう思いながら給湯室に入ろうとした時だった。
話し声がして思わず立ち止まってしまった。

5階も先客がいたのか・・・本当タイミング悪いなぁ。
でもこれ以上、部長を待たせるのも良くないし思い切って入るしかない。


「そういえばエーズ社の古賀さん、聞いた?」


大希の名前を聞いて再び立ち止まった。
中から聞こえるのは、女性2人の声。話題はエーズ社、特に大希のことだった。
立ち聞きはよくないとは思いつつ、本音はすごく気になって部長の存在を忘れ聞き入っていた。
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