再会は突然に
偶然見かけた話
私が勤めているのは、東京に本社を置く家具メーカーだ。

全国各地や海外まで支社や営業所があるような、規模が大きい会社ではないが、自社ビルを構え、売り上げも年々右肩上がりと聞く。
それに、つい最近海外事業部なるものが新設され、近い将来海外と取り引きするようになる。
とにかく、私からしたらもったいない会社である。

私と恵梨は総務として勤めており、昼休みが終わると社員食堂のある1階から総務のある3階までエレベーターを使う。
いつもならもう少し早い目に昼休みを切りあげ戻るので、乗る為に待つ人も少ないが今日は私が感慨に耽っていたせいかいつもより遅くなってしまい、エレベーターを待つ人が多いピーク時に当たってしまった。

仕事には間に合うと思うが、乗るのになかなか時間がかかりそうだ。

かといって非常階段を使う気にもなれない。
1階から3階なんて軽い運動のはずだが、億劫になりもっぱら移動はエレベーターだ。
< 6 / 112 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop