再会は突然に
私が何も言わなくなったのを確認した大希は、「はい」と言って片手を差し出してきた。

・・・もしかしてまさかこの手を取れ、とかじゃないよね?

怪しむように大希の片手と顔を交互に見つめてしまった。


「逃げられると困るから」
「そんな、逃げないよ」
「今まで逃げてたのはどこの誰?本当上手いこと避けるよな?」


うっ、分かってたけどやっぱり避けてたのバレてたか・・・。
明らかに避けてたのは自覚あったし、バレてるんだろうなとは思ってたけど。

少なからず威圧を感じる。これは大人しく従って、手を取ったほうが良さそうだ。
バレている以上、誤魔化しなんか絶対効かないし

そう考え、たどたどしい仕草で大希の手を取った。


「よく出来ました」


そう言って大希はふんわり優しく微笑んで、しっかりと手を繋いでくれた。

さっきまで危ない笑みだったくせに。
ダメだよ、大希さん。
そんな風に微笑まれたらキャパオーバーもいいとこなんだって。

・・・というかこの人絶対私の反応云々分かっててやってるのが一番タチが悪い!!

一人でうわぁぁぁと葛藤しているなんて、とっくの昔に見透かしているだろう大希に半ば引っ張られる形で、私はどこに行くのか分からないまま大希について行くことにした。
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