再会は突然に
「この時間ってこんなに混むんだね」


周りは面識のある同期の顔から、全く面識のない後輩、先輩社員までとにかく大人数だ。
やっぱり早い目に切り上げてのんびり戻るべきだなぁ・・・。

次からは気をつけなきゃ、と一人意気込んでいると会社の入り口あたりがざわつき、周りもざわざわとし出した。
「なんやろ」と言いながら、170cm近い恵梨は背伸びしてざわつく方を見ようとしていた。
160cmあるかないかの私は、背伸びをしても人の頭しか見えない。

気になるけど、人の波が収まるまで待つか、後で恵梨に聞こう。

そう決めた私は、ぼんやりとざわつく方向を見ながら考えていた。
その後、何が起きるか考えもせずに、無防備に。

数十秒もしないうちに、ざわつく声は大きくなってきた。


「恵梨、何が起きてるの?」
「見た感じ、めっちゃイケメンな外国人とうちの社長が歩いてきはる」


・・・なんだそれは。
もしかして、例の海外事業部絡みかな?取り引き先の社員さんが出張でやって来ることは大いに可能性がある。
それか、社長のお知り合いの方が訪問とか?
いや、でもただのお知合いを、わざわざ会社になんか連れてくるだろうか?

見えない中で考えるも、明確な答えは何も出てこない。
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