再会は突然に
そう指摘されると余計顔に熱が集まるのが分かった。

こ、この人絶対からかってる!
だって現に今、クスクス笑ってるし。面白いもの見つけた子供みたいな顔してるし!!


「か、からかわないで!」
「からかうも何も、可愛い風香が悪い」
「可愛くなんか」


可愛くなんかない。
そう否定しようとしたのに出来なかった。

ふんわりと大希に抱きしめられたらだ。
ちょうど私の顎が大希の肩に乗るぐらいの位置で抱きしめられて、大希の顔は見えないものの真横にあって男物らしいシャンプーの香りが鼻をくすぐった。


「十分可愛いから」
「っ!!」


心地よい声がさっきより近くで響いて、心臓が嫌というほど跳ね上がる。

この人は私の心臓を止めたいのだろうか。
そう思うぐらい、大希にドキドキさせられている。


「風香」
「は、はい」
「そろそろさっきの返事もらえる?」


さっきの返事・・・もしかして冒頭の質問に対する返事のことだよね・・・?

返事はもちろん決まっている。
でもその一言を言うのが凄い恥ずかしいし、改めて本人を前にするとたった一言なのに口から出てくれない。
< 74 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop