再会は突然に
恥ずかしいけど、もうしばらく抱きしられていようかな。
温かくてドキドキするけど落ち着くし凄く幸せな気分になれる。

私、こんな幸せ者でいいのかな・・・。


「そんなに余裕なら大丈夫だよな?」


急にそんなことを言われて、ゆっくり体を離され、ハテナマークをこれでもかと浮かべた。


「どこをどう見たら余裕だってなるの!?」
「さっきから、ふふふって笑ってるから」


わ、笑ってただと!?これっぽっちも気付いてなかった!!

無意識だったらしく反論しようにも出来ない私は、口をパクパク動かすしかなかった。
対して、大希の顔は無表情ではなく、意地悪そうな笑みを浮かべている。

嫌な予感だけはする。

思わず後退りすると、大希はさっきより距離を詰め私の顎を捉えた。


「大希!?」
「10年ぶりだから止められないかも。覚悟しとけよ」
「え、は!?」


そのまま大希の整った顔が近づいてきたかと思えば、唇に温かいものを感じた。

それが口付けだということに気付いた時には既に遅し。


「んんっ!!」


思わず声が漏れたのは、私が知らない大人の口付けだったから。
私が知っているのは、あくまで唇が触れる程度のものだ。

こんな、荒々しくてふわふわして気持ちいい口付けは知らない。

しかし上手く対応出来るわけもなく、抜けきった力を総動員させ大希の体を叩いたり押し返そうとするも無駄な抵抗として終わってしまう。

その後もしばらく与えられる甘い口付けに惑わされ、やっと離された時には思考力抵抗力ともに放棄し、大希に寄りかかることしか出来なかったのである。
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