再会は突然に
そうなのだ、実はあのあと大希は抱きしめたり頭を撫でたりと私を散々甘やかし、夕食を作ってくれて律義に家まで送ってくれたのだ。

流石の私でも覚悟ぐらいはしていたので拍子抜けだった。
土日も、大希は帰国のこととか仕事のことで相当バタバタしていたらしく電話越しに少し話したぐらい。

そして気付けば明日には帰国、ということになってしまった。


「で、今日は?会う予定は?」
「仕事が遅くなるから帰れって言われちゃった」
「え、明日の帰国も仕事だから行けるわけがないでしょ?ってことは会わないまま遠距離!?」


うぅ・・・言葉にされると改めて自分の置かれている状況って相当ヤバイよね?
いくら想いが通じたといえ、会わないまま遠距離になるのは不安しかない。
せめて今後どう付き合っていくのか話し合いたいんだけど・・・大人って雰囲気とかで察するもの?

突撃訪問・・・は余計仕事の邪魔になるし、困った大希の顔しか浮かばない。大希のことだから拒んだりはしないだろうけど、迷惑しかかけない。それは決して本意ではない。

しばらく何か手はないかと三人で話し合ったものの、結局いい案は出ず。仕事再開の時間が近づきお開きとなった。

総務部に戻る間に、以前みたいに見かけられないかななんて期待したのだが、見事に打ち破られ午後の業務に支障来たしまくりだったのは言うまでもない。
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