再会は突然に
「はぁやっぱり待ち伏せすれば良かったなぁ」


そう大きくため息と独り言を発したのは、帰社後の自宅で。
大人しく家に帰ってきたものの、大希に会いたい私は一人で悶々とするしかなかった。

連絡も来ないし、大希が忙しいのは分かる。
でも詳しいことは分からないが、しばらく遠距離になるのにその前に会えないのはつらいし寂しい。


「もしかして、会いたいと思ってるの私だけ・・・?」


その問いに答えがあるわけもなく、一人の空間に虚しく響くだけ。
何度目か分からないため息をついていると、「ピンポーン」と来客を告げるチャイムがなった。

時間は21時を過ぎた頃。
こんな時間に誰だろう?
今のところ何も頼んでいないし、家族や友達が来るなら事前に連絡が入るのに特に連絡はなし。

ということは、怪しい宗教勧誘とかそういう類しか思いつかない。

しかし、もしかしたら誰かが訳ありで連絡なしに来ているのかもしれない。
向こうに気付かれないように、確認だけしに行こう。

そう決め私は静かに扉を開けて玄関に向かった。
外を確認出来る液晶が付いていない我が家は、ドアスコープで外を確認するしかない。
ゆっくり目を細めて外を確認すると、そこには仕事終わりだろうスーツ姿の大希が立っていた。
< 79 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop