再会は突然に
後悔しかない私を見つつ、恵梨は話を進める。


「古賀さんも苦労してはるなぁ。初心な風香に合わせて抑えてはるやろに、目の前で寝落ちされるとはなぁ」
「恵梨さん容赦ないよ・・・」


事実といえば事実だが、にっこりと笑顔でそんなこと言われては私の心はズタボロである。
本当、何であのタイミングで寝落ちしてしまったんだろう。
数ヶ月遠距離だというのに、慌ただしい別れになるなんて・・・。

大希は何も言わなかったけど、心の中では呆れられているかもしれない。


「流石に呆れるよね・・・」
「そりゃないやろ。古賀さん風香にベタ惚れやろし」
「え、ベタ惚れはないよ」


ベタ惚れ、という言葉に気恥ずかしくて、あははと笑いながら否定する。
しかし恵梨は「甘い」と私の否定を一蹴し。


「ベタ惚れやって。そうないんやったら、わざわざ酔って寝た昔の恋人をご丁寧に送る?」


サラッと、つい最近やらかした私の黒歴史を投下してくれた。

まさかそれを引っ張り出されるとは思っておらず、「そ、それは!」としか言えなかった。


「それにあの時の風香を見る目よ。それまで無表情やったのに、めっちゃ優しい目なるし」
「え、何それ」
「すっかり寝込んだ風香をスマートにお姫様抱っこなんかするもんやから、同期からめっちゃ注目浴びてはったけど、嫌な顔一つせんと何事もなく去ってかはるし」


具体的にどうやって送ってもらったなんか知らなかったので、恵梨から語られる私が寝た後のことは衝撃でしかなかった。
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