再会は突然に
そ、そりゃイギリスから仕事で来たはずの大希が私をお姫様抱っこなんかして送るって分かったら、恋人同士なのか?って思うよね・・・。
飲み会明けの月曜日に、朝から同期に質問されまくった理由にひどく納得した。


「というわけで、古賀さんは最初から風香にベタ惚れやったからそんな心配せんでええ」


そうなのかなぁと半信半疑になりながらも、恵梨の言い切った口調に、勇気付けられた気がした。

私はひどく単純な人間である。

落ち込んでても仕方ないよね、もし呆れられたなら、あとは挽回するしかないし!


「何はともあれ、ええ感じに収まったんやから良かったやん。あゆちゃんも聞いたら喜ぶんちゃう?」
「そうだね、直接言えたらいいんだけど」


仕事でバタバタしているだろうあゆちゃんの姿は見えないけど、言えば盛大にお祝いしてくれるだろう。

・・・うん、会社の中で言うのだけはやめておこう、周りから冷ややかな目で見られるのが容易に想像出来る。
そろそろ冷ややかな目で見られるのは避けたいところだ。


「仕事は続けるん?」
「とりあえず大希が戻って来るまでは続けようと思うけど、その後のことは考えられてないんだよね」
「そうなんや、でも風香サッと辞めそうやな」
「え、でも恵梨の方がサッと結婚決めて私を置いていきそう・・・」


お見合いするって言われた時みたいに、唐突にポロリと言われそうな気がする。
恵梨は「そりゃないわ」と言うけど、可能性は無きにしも非ず。

来月にはお見合いが控えてるみたいだし、何が起こるか分からない。

現に私がそうだ。まさか未練タラタラの恋が報われるとは思わなかったし。


「まぁ結婚式には呼んでや」
「ふふっ、恵梨こそ」


お互い目を合わせて笑う。

素敵な同期、親友がいて良かった。そう強く実感したお昼休みだった。
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