再会は突然に
優しい大希のことだから、私が駄々をこねれば無理やり時間を作って、無理をして会いに来てくれるかもしれない。
でも私はそこまで子供じゃない。彼の負担などになりたくないし、笑顔で応援したい。

そもそも数ヵ月で日本に戻って来るため頑張る大希に、我が儘、文句など言えるわけがない。
私は待つって決めたんだもん・・・。


「まぁあと数ヵ月したら毎日でも一緒にいられるんやし、今が踏ん張り時やな」
「うん、それまでにいい女になるって決めたしね!」


大希がイギリスに戻ってから、仕事はもちろん、英会話教室へ行ったり、それまで必要最低限にしていた料理を頑張ってみたりと試行錯誤の毎日だ。

ちょっとでも大希に釣り合う女性になりたいし、何より大希が頑張っているのに私が頑張らないわけにはいかない。


「頑張るんはええけど、無理はしんときや?」
「それはもちろん!」


そう言ってガッツボーズを見せる私に、恵梨は呆れたため息を小さくついた。


「え、何そのため息!」
「いや何でも?」


恵梨はそう言いながら、素知らぬ風にまたお茶を口にする。

全然素知らぬ風になんかなってないんだから!
流石の私でもいい大人。自分の限界ぐらい分かっている。
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