Prologue
*
少し、寄り道をしようと思った。
学校帰り、ちょうど日が傾きかけていて、西の空から金色の光が注いでいた。
わたしの目にはあまりに美しく見えたから、きっと、あの場所ならもっと綺麗に見えるはずだと思った。
あの場所って言っても大したことはない、ただの川なんだけど。
でもきっと、ただだだっ広いだけの川も、今日ならいつもより綺麗に見えると思った。
わたしの家から川はそう遠くないし、学校帰りに寄り道しても少し遠回りになるだけ。
同じことを繰り返すだけのつまらない毎日に刺激が欲しかった。
少しでいい、なんでもいい。
心の動く何かが欲しかった。
だから、その日の川を橋の上から見たとき、本当に感動したの。
予想通り、金色の光を映す川が本当に綺麗だったから。
あと、もう少しだけ頑張れるって。
そう、思った。
あともう少しだけなら、なんとか、きっと。