Prologue




少し、寄り道をしようと思った。


学校帰り、ちょうど日が傾きかけていて、西の空から金色の光が注いでいた。

わたしの目にはあまりに美しく見えたから、きっと、あの場所ならもっと綺麗に見えるはずだと思った。

あの場所って言っても大したことはない、ただの川なんだけど。

でもきっと、ただだだっ広いだけの川も、今日ならいつもより綺麗に見えると思った。

わたしの家から川はそう遠くないし、学校帰りに寄り道しても少し遠回りになるだけ。


同じことを繰り返すだけのつまらない毎日に刺激が欲しかった。

少しでいい、なんでもいい。

心の動く何かが欲しかった。


だから、その日の川を橋の上から見たとき、本当に感動したの。

予想通り、金色の光を映す川が本当に綺麗だったから。

あと、もう少しだけ頑張れるって。

そう、思った。

あともう少しだけなら、なんとか、きっと。

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