Prologue
わたしの運命なんて、きっとこんなものだ。
閉じていた目を開いて、わたしはため息に近い深い息を吐いた。
トラックに当たるその瞬間、意識を手放してから、初めて目が覚めたのは数日前。
この、橋の上で、だ。
違和感には、すぐに気付いた。
なんせ、わたしの立っていたのはトラックに轢かれた道路のど真ん中だったし、どこも痛くなければ制服には汚れ一つない。
こんなところで目を覚ますなんておかしいし、怪我の一つもないなんてさらにおかしい。
たまたま通りがかった人がこちらに見向きもしないのを見て、半信半疑だったコトが確信に変わっていった。
…ああ、わたしは死んだのかと。
それでもなんだか、素直に認めることができずに、わたしは呆然とその場に立ちすくんでいた。
自分の死が信じられないというより、いまいち実感がわいてこないのだ。
そりゃあ、自分の死体を見たわけじゃないし、痛みのショックで気を失ったから、死の瞬間を体験したわけじゃない。
苦しんでもがいたり、そういうことがなかったから。
こんな道路の真ん中に立ってるのに見向きもされない時点で、ほとんど確実なのに。