Prologue
だからもちろん、やることもあるはずがない。
未練の一つや二つ心当たりがあれば、それを解消してこんな世の中から消えることだってできただろうに。
何も思いつかないから、わたしはいつまで経っても消えることができない。
轢かれて、死ねて、ラッキーなんて思ってしまったけど、こんなの、全然ラッキーじゃない。
ああ、でも、学校に行かなくて済むから、いいのかな。
家に帰らなくてもいい。
誰も文句は言わないし、嘲笑ったりもしない。
誰にも視えない存在だから、どこにいても、何をしていても、何も言われない。
…まあ、今のわたしにできることなんて、そのへんを歩いて回るくらい、なんだけど。
いつになったら消えれるんだろうって考えたりもしたけど、結論は出なかった。
学校や家に行ったりすれば何かわかるんじゃないかとも思ったんだけど、それは却下。
せっかく見なくてもいい顔を、どうしてわざわざ見に行かなきゃいけないのか考えたら、行く必要なんて感じられなかった。
そもそも、わたしがここに残ってる原因があるとは思えないし、あってほしくない。