夢のままでいたい。
「なにこれ………?」
絵の具…ではないだろう。
臭いも鉄臭くて思わず眉間を寄せてしまう。
これは、
「血だよね…?」
にしても量が多すぎる。
そして、何かを引きずったような痕が廊下に続いてゆく。
誰かが怪我をしているということだろうか。
「と、とにかく…父上達のところへ………」
いや、部屋に戻るべきか?
しかし、誰かケガをしているというのに自分だけ部屋にいるという訳にはいかない。
ぬるりと少しだけ乾いた血液がぬめる床を純白の車輪が転がってゆく。進めば進むほど車輪は赤く染まり、不思議と心臓がうるさい程に高鳴った。
まるで、この先に何かある事を期待しているようだ。