夢のままでいたい。
「家族?ああ、あの娘か。」

兄上が思い出したように返す。

「そういえば、産声が煩かったから歩ける様になりはじめて直ぐに脚の健を切ってやって歩けなくしてやったよ!」

ぞわっと鳥肌が立った。

────────これ、私のことだ。

いや、物心つく前のことだから正確な答えではないけれど、直感的にそう思った。

「やっぱ噂は嘘じゃねぇってわけか」

男がため息をついた瞬間、曲がり角の向こうから血飛沫が少しだけ飛んできた。
それと、兄上と同じ…金色のブロンドの髪。

ぐっと胃から全てが逆流して口から吐き出してしまいそうになるのを抑えた。
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