溺愛王子様のつくり方
プロローグ
「おいで、僕のお姫様」


なんて手を伸ばしてくれるあたしの王子様。
そんな人が現れることを夢見ていた幼少期。



「いつか誰かの特別に」



──なりたいと。
思い描いていた、学生時代。

そんな簡単に見つかるわけないと。
いまのあたしにはわかってる。

でも、誰かひとりでいい。



「君が特別なんだ」



その言葉を言われる日をずっと待ってる。

白馬の王子様。
なんてそんな贅沢なことは言わない。

とびっきりイケメンだなんて言わない。

とびっきりお金持ちだなんて言わない。

なにも持たなくていい。
あたしだけの特別な誰かと、いつか幸せになりたい。

──願わくばこの人。
そんな人はいるけれど。

でも、自分の想いが必ず叶うわけじゃないことももう知ってる。

いろんなことを諦めてきたんだ。

それでも、いつか幸せになる未来だけは。
諦めなくてもいいよね?

きっとあたしだけの王子様は、笑顔で頷いてくれるはず。

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