溺愛王子様のつくり方
「てか、もう先生とか二度と言うなよ」



話題を変えるかのように、あたしを見る学くんにはなにも言えなかった。

きっと、これ以上なにも聞くなって言ってる。
そんな目をしてる。



「先生だったじゃん」


「実習だろ」



あたしと学くんの出会いはあたしが高校3年生のとき。
大学四年生の学くんが教育実習をしにうちの高校にやってきた。

イケメンで優しくて、それでいて冗談もたくさん言って。
わかりやすく授業をしてくれる学くんは生徒達に大人気だった。

みんなが学くんに憧れてた。
憧れの先輩的な存在だったと思う。

あたしもそのひとりだった。
あの時までは。



「まさか、御曹司だったなんて」


「あの時は俺も御曹司のつもりなかった」


「え?本当に先生を目指してたの?」



もしもそうだとしたら。
夢をかなえらなかったことになる。



「まさか」



自嘲するように笑う。
これには、きっと本心じゃないんだろうなってそう思った。

なんとなくわかる。
学くんが嘘をついてるとき。
学くんが何かを我慢してるとき。

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