溺愛王子様のつくり方
「あのさー、ちとせ困ってるから離しなよー」



軽い感じで口を挟む環にイライラする。



「環、お前には関係ない」


「いやいや、なくはないでしよ?学」


「あ、あの……二人は知り合い?」



戸惑いがちに俺たち二人を交互に見る。



「昔からよーく知ってるよ。俺は」



環がニコッとちとせに笑いかける。



「え?そうなの?」


「あとで話すから、帰るぞ!」


「意外だね。学」



ちとせの腕を再び取ろうとすると、環がそう俺に話かけてくる。



「なにがだよ」


「お前の母親の敵、とるんじゃなかったの?」


「……っ」



環の言葉に俺は何も言えなくなってしまう。

母さんの敵を取るつもりだった。
でも、取るなんてどうしても無理で。



「俺も、俺の母さんの敵取っていいかな?」


「はぁ?どういう……「ちとせを返してもらう」



俺の言葉を遮って最も恐れてた言葉を口にした。

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