溺愛王子様のつくり方
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「ちょっと待って……返す、返さないってなに?あたしタマとはここで初めましてだよ?」


「はは、俺はちとせが赤ちゃんの頃から知ってるよ」



タマがあたしの頭をふわりと撫でる。



「え……?」


「可愛い可愛い俺の妹」


「いも……うと?」



タマの言葉が理解できない。

だって、あたしには身内なんかいない。
お母さんが死んでしまったから、もう身内なんていない。
お母さんだって、ほかに身内がいるなんて言ってなかった。


それに……。



「どうして、タマと学くんが知り合いなの?」


「環の名前がさきに呼ばれるのが気に食わない」



あたしの質問に頬を膨らませている学くん。



「ほんと子供だね。学は」



クスッと笑って、学くんの頭を撫でるタマ。



「子供扱いすんじゃねぇよ、ムカつく」



頭に置かれたタマの手を振り払う。

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