溺愛王子様のつくり方
「今日から教育実習として3人の先生を迎えてます。では、ひとりひとり……」



体育館に校長先生の声が響いてる全校集会。



「ねぇ、あの人かっこいいね」



周りの女の子たちの視線は1人の教育実習生に向けられてた。

大学四年生だろうから、あたしたちより5個上の22さい。

みんなと同じようなスーツを着ているのに、彼だけはなぜかひときわ目立ってた。
切れ長の目に、黒色の短髪。
スーツの着こなし方も上品でキマってる。

それでいて、そこに立つだけでなぜか色っぽさを持っている。


──ドクン


人をみて胸が波打つのは初めてのことだった。


……なにこれ。
なんで、こんなにドキドキしているの?

彼は壇上にいて、こんなにも離れているというのに。
時たま、生徒のあたしたちの姿を見るときに目があったかもしれないなんてありえないことも考える。

そして、その度にドキドキが募る。

これ、きっとみんなの言う「かっこいい」と同じだよね。

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