溺愛王子様のつくり方
「なんか今日、ボーっとしてね?」



放課後の生徒会室。
あたしは書記として1年生の頃から生徒会に入っている。

きっかけは、いまの生徒会長であるひとつ年上の霧島燿に誘われたから。



「別にぼーっとなんてしてないよ」



燿くんにそう返事をして、書類をまとめる。

燿くんと知り合ったきっかけはなんだったか。
気づけば、入学してからの学校生活。
生徒会室にいることが多くなってた。

あたしはクラスに友達はいないから。
ここで燿くんと過ごす毎日が実は好きだったりする。



「入るぞー」



生徒会顧問の田代先生がドアを開けて入ってくる。



「教育実習にきた遊佐くん、俺が担当することになったからここも任せるからよろしくねー」



「よろしくお願いします」



田代先生の後から、爽やかな笑顔で朝の体育館で胸を波打たせた人が入ってくる。



「あー、女子がめっちゃ騒いでた実習生じゃん」



燿くんが彼の横に歩いていく。

< 109 / 189 >

この作品をシェア

pagetop