溺愛王子様のつくり方
「社長と環坊っちゃまはあそこに入りましたよ」



病院について池田が、ひとつの病室を指さす。



「ちょっと見てくるから、池田は車で待っててよ」


「でも……」



まだ小学2年生の俺を1人にするのは危ないと思ったのか、池田が戸惑いを見せる。



「じゃあここから見守っててよ」


「わかりました。ここにいますからちゃんと戻ってきてくださいね」



池田はにっこりと笑う。



「わかった」



池田に手を振って、お父さんたちが入っていった病室を目指す。



「おい、ちとせ走るなって」



病室に入ったはずの環が小さな女の子を追いかけて部屋から出てくる。



「え!?学!?」



女の子を簡単につかまえて、抱きかえた環は俺の姿をみて目を丸くする。



「だれ、その子」


「俺の妹」



そう返事をすると、その子を床に立たせる。



「ほら、ちとせ。挨拶は?」


「おにいちゃんのおともらち?」



まだ、たどたどしい言葉で俺を見上げる。

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