溺愛王子様のつくり方
「あれ」



屋上のドアを開いて一歩踏み出すと同時に、フェンスの所にいる人が振り向く。



「遊佐、先生……」



あれ以来、教室であうことはあってもほかの場所で会うことはなかった。



「みんなと同じように下の名前でいいのに」



遊佐先生は、フェンス際に座って隣をポンポンと叩く。


……おいでってことだよね。


男の子とというか、人とあまり関わって来なかった人生のせいで進みだそうとする足がすくんでしまう。



「なにやってんの?」



ふはっと吹き出して、立ち上がった遊佐先生はあたしの前へと歩いてくる。

そんな一連の動きにすらあたしの心臓は破裂しそう。



「鈴野さんって、周りに溶け込もうとしないよね」


「……っ、昔から苦手で」


「霧島と付き合ってるの?」



ニコニコしながら聞いてくる言葉に心臓が抉られそうになる。

あたし、なんで遊佐先生の言葉にいちいち反応してるんだろう。

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