溺愛王子様のつくり方
「あぁ、これのホチキス止め」



隣の机から束になった紙を持ち上げる。



「……ったく、なんだよ」



燿くんのスマホが鳴って、イライラしたように耳に当てる。



「はい、ん?あー、それなら……いや、説明面倒だから行く」



電話を終えた燿くんは、ため息をついてポケットにスマホをしまう。



「生徒会?」


「そう。姫野が」


「行ってらっしゃい」



燿くんの背中を押して、ドアへと連れていく。



「終わったら……「わかった。生徒会室行くから、一緒に帰ろう」


「おう!」



あたしの答えに満足したように、燿くんはドアを開けて出ていった。



「一緒に帰るんだ?」


「あ、はい。住んでるとこがすぐ近くなので」



あたしが住んでいる施設の目の前に燿くんの家があるから、基本的に一緒に帰るようにしている。



「それでいて、付き合ってないんだもんね?」



あたしの方は見ずに、資料にホチキスをとめていってる。

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