溺愛王子様のつくり方

「お前、明日で実習最後だろ？」


「そうだよ」


「そしたら、もう関わるなよ。頼むから」


「俺が本気、だって言ったら？」



ここ数日自分の胸のつかえがとれない。
一緒にいるちとせがかわいくて、そして楽しくて。
一緒にいる時間が大切だと思ってしまってる自分がいる。



「本気なら、いいん……あ、電話」


言葉の途中でテーブルの上のスマホが鳴って、環は電話に出る。



「あ、父さん。なに？……え！？」



環の声が明らかに大きくなる。
そして、俺の顔をみる。



「どうした？」



スマホを持ったまま立ち尽くしてる環。
俺は環からスマホを奪う。



「なんか、環放心してっけど？」



スマホを耳に当てて話す。



『学……』


「なに？どうしたわけ？」



明らかに声がいつもより元気のない親父。



『愛美（あいみ）さんが』


「母さんが？」



愛美というのは、俺の母親。
結婚してからずっと愛美さんと親父は呼んでる。



『事故で即死だった』


「は？」



親父の言葉に真っ白になる俺の頭。