溺愛王子様のつくり方
「お前ってバカみたいに正直だよな」


「バカみたいは余計です」


「そういうところが……」



何かを言いかけてハッとしたように口をつぐむ。



「学くん?」


「なんでもない。早く撮って行くぞ」



さっきまですごく優しい表情をしていて、あの時に戻ったみたいだったのに一瞬にして冷たい表情に早変わり。



「大塚、撮ってくれよ」



大塚さんにスマホを投げる。



「いいよ」



そんな学くんに慣れているのだろう。
大塚さんもすんなりと受け止める。



「ちゃんとかわいく映れよ」


「顔は変えれないですけど」



そりゃこんな記念の写真があるなら、もっとお洒落してきたのに。
知らなかったから普段着だし、メイクだって普通だ。
でも、自分の顔がブサイクではないけど平凡だってことも重々承知だ。

それでも、顔は変えれないから仕方ない。



「はいチーズ」



でも、この日を特別な日だって思ってるから。
大塚さんの掛け声に思いっきりの笑顔。
作り笑顔なんかじゃない。
好きな人と幸せになれると信じてるからこそ、出るこの笑顔。

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