溺愛王子様のつくり方
「なんか、不安気な顔してるけどどうかした?」



あたしの表情の変化に気づいてか、立ち止まって顔を覗きこむ。



「いや……」


「ん?どうした?」



そう聞く学くんの表情はとても優しくて。
気づけば、素直に自分の気持ちを口にしてた。



「学くん、すごい人気だし……」


「うん」


「実習が終わって……大学、戻ったらやっぱり……そこでも人気だろうし」


「うん」



あたしの言葉をひとつひとつ汲み取るように相槌を打ってくれる。



「あたしのことなんて、すぐに……「それはないよ」



あたしの言葉が言い終わらないうちに、学くんの言葉が降ってくる。



「え?」



学くんの顔を見上げれば、少し怒ったような顔をしてる。



「俺は、ちとせちゃんが好きだって言ってるでしょ?」



ぎゅっと、両頬をはさまれる。



「うう、学、くん……」


「霧島になに吹き込まれたかしんないけど」


「え?燿くん?」



突然、燿くんの名前が出てきて首をかしげる。

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