溺愛王子様のつくり方
「学くん、プリクラとって帰ろう」


「えー?」



歩きながら見えてきたゲーセン。
好きな人もできたことがなかったあたしは、その手のことをしたことがない。



「学くんと撮りたい」


「それ、今日なの?ちゃんと付き合ってから記念に撮ろうよ」


「嫌だ。今日がいい」



こんなふうにわがままを言うのははじめてだったかもしれない。
なんで、こんなわがままを言おうと思ったのかはわからない。

でも、いま撮らないととなぜか思った。



「仕方ねぇなー」



満更でもなさそうに、学くんがゲーセンに向かって歩き出す。



「やった」



渋々だけど、応じてくれたことが嬉しくて。
形に残る思い出を作れることが嬉しくて。



「なんで、今日にこだわんの?」



プリクラの機械に入って早々、学くんが口にする。



「教育実習生と生徒としてこうするのは今日で最後でしょ?」


「そうだな」



あたしたちは、休みの日に会うことはない。

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