溺愛王子様のつくり方
「秘密の関係の最後の思い出に、ね」


「……っ」



あたしがそう話すと、面食らったような顔になる。



「学くん?」


「あ、いや。そんなに秘密の関係が好きなら、俺森ノ宮に就職する?」



冗談ぽく言い、あたしの頬をつねる。



「誰もそんなこと言ってない」


「嘘だって。ほら、プリクラ撮るんだろ?」



機械にコインを入れる。



「うん。ふふ、嬉しい」



彼氏とかいたことなかったし。
友達だって全然いないあたしは、プリクラを誰かと撮るなんてことはなかった。

燿くんが友達だけど、燿くんとプリクラ撮るなんてことはないし。



「そんな、嬉しい?」


「誰かと撮るのはじめてなの。あ、お母さんとは撮ったかな」



記憶にはあまりないけど。
首にぶら下げてるペンダントを開く。



「それ……?」


「うん。唯一あるあたしとお母さんの写真。プリクラだけどね」



昔あっただろう写真はすべて、親戚によって捨てられてしまったから。
お母さんの顔がわかるものはこれだけだった。

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