溺愛王子様のつくり方
「お前の母親か……」



あたしが開いたペンダントに学くんが触れる。
その瞬間、学くんの顔が険しくなった気がした。



「学くん?どうかした?」



ペンダントに触れたまま、静止してる学くんが気になって袖を引っ張る。



「あー、ごめん。お前の母親はもういねぇんだもんなーっめ思ってさ」


「そうだね。でも、こうやってずっと一緒にいるよ」



ペンダントはずっと肌身離さずつけている。
これは、あたしの体の1部なんだ。



「そっか。よし、とるぞ」



明るく言い放って、プリクラの操作をする。



「慣れてるね、学くん」


「まぁ……それなりに」


「彼女とか……?」


「まぁ、そうだけど。今じゃねぇから」



あたしの頭をポンッと叩いて、操作を続ける。



「ちとせちゃん」



撮影が始まるという時、学くんに名前を呼ばれて彼の顔を見上げる。

見上げたと同時に触れる唇。



──カシャ



唇が触れたと同時に機械からシャッター音がなる。



「チュープリ」



涼しい顔でそんなことを言う学くんだけど、あたしの顔は間違いなく真っ赤だ。

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