溺愛王子様のつくり方
「かわいいから。いまメガネしてないし」


「メガネしてたらブサイクってこと?」



〝かわいい〟なんてセリフ言われ慣れてないから。
ドキドキしてしまうのは仕方ない。
それにこの人はあたしの好きな人だ。



「メガネしててもしてなくてもお前は可愛いから、ずっと笑ってろ」


「……っ」



どうしてそんな事を言うのだろう。
こうして一緒に過ごしていれば、あの時みたいに通じ合える?



「大塚ありがとう」



スマホと引き換えに借りていたボードを大塚さんに渡す。



「おう。じゃあな」


「大塚。さっきのくれぐれもよろしくな」


「わかってる」



二人でなにやらあたしの知らない会話。

まぁ、あたしには関係のないことなのだろうと、気に留めていなかった。



「帰りますか、奥さん」


「うん。帰りましょうか旦那様」


「これからよろくね、ちとせ」


二人で言い合って、二人で笑う。

こんなふうに優しい時間が過ぎていくのは久しぶりだ。

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