溺愛王子様のつくり方
「お?ちとせ今日は来れないんじゃなかったのか?」



生徒会室に入ると、雑誌を読んでいた燿くんが顔をあげる。



「燿くん……」



燿くんの顔を見るだけで、こみあげてきそうになる涙。



「どした?」


「学くんが……いない」


「あぁ、あいつ最後の日を前にして終了したらしいな」



どういうことなのだろう。
わからなくて、あたしは何度も何度もスマホを耳に当て続けた。


だって、もう二度とあえないような。
そんな不安に駆られて仕方なかったから。



「さっきからめっちゃ電話してね?」



燿くんがあたしの手からスマホを奪う。



「お前……かけすぎ」



ディスプレイに表示されてる内容をみて、目を丸くする。



「だって……」


「だから言っただろ。あいつは本気じゃねぇって」



燿くんはあたしに何度も言ってきていた。

〝騙されてる〟とか〝信じるな〟とか。
でも、どうしてもあたしはそれを信じることはできなかった。

< 151 / 189 >

この作品をシェア

pagetop