溺愛王子様のつくり方
だって、学くんの言葉はいつでも暖かかった。
嘘をついてるようには思えなかった。



「……っ、スマホ返して」



諦めるなんてできなくて。
燿くんの手からスマホを奪い取る。



「ちとせ、もう20回もかけてる。やめろ」


「出てくれないんだもん」



そんなにかけてるつもりはなかった。
でも、学くんと話したくて。
繋がりがほしくて、必死になっていた。



「最後にしろ」


燿くんがはぁっとため息をつく。



「わかった」



さっきまでと同じように、耳にスマホを当てて学くんに電話をする。


──おかけになった電話は……



「電源切れてる……」


「わかったろ?あいつはお前と付き合うつもりなんてないんだよ」


「……っ」



どうしてだろう。
あんなに、優しくあたしを受け止めてくれていたのに。



「ちとせ」



力が抜けて、その場に座りこむあたしを燿くんが同じようにしゃがんで抱きしめる。

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