溺愛王子様のつくり方
「ちとせ、俺のとこに帰ってきてくれるよな?」



いつも俺様で。
いつだって自信満々で、余裕があって。

そんな彼がいま、不安げな色を瞳に映してる。



「でも……」



ずっと学くんの元に戻りたいと思っている。
でも、そんなにすんなり戻ってもいいものかと思ってしまう。

学くんが嘘をついてるようには思えない。
でも、不安な気持ちがないとはいえない。



「お前がいないとダメだ」


「……っ」



あたしの両肩を掴んで、真剣な瞳であたしを見つめる。

ドキドキと胸が騒ぐ。



「なあ、俺のこともう好きじゃない?」



不安げな表情を浮かべながら、あたしの腕を引っ張って自分へと引き寄せる。



「……好き」



嘘なんてつけない。
この気持ちに嘘なんてつけない。

だって、ずっとずっとあたしは学くんのことが好きだから。

はじめて見たときからずっと大好きなんだ。



「なら、帰ってこい」



力強く言われ、ぎゅうっと抱きしめられる。

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