溺愛王子様のつくり方
「環には甘い親父の金で暮らしてるよ」


「え!?」



学くんの言葉に驚いて、大きな声が出てしまう。



「うるせーな。父さんのとこ言ってちゃんとするって。ここれからは」


「はいはい。じゃあ行くぞ」



エンジンをかけて、ハンドル握る。



「じゃあまたな」


「バイバイ」



あたしも学くんもタマに手を振って、車は発車した。



「はぁーよかった」



少しだけ走らせて、学くんは車を路肩に停めた。



「学くん?」



このまま家に行くもんだも思っていたから、びっくりして首を傾げる。



「もう戻ってきてくれないかと思ってさ」



膝に置いていたあたしの手をぎゅっと握る。



「……学くん」


「もう1度言わせて。あの時も再会してからも……俺のせいで傷つけてばかりで本当にごめん」



あたしに向かって深々と頭を下げた。



「学くん!頭上げてよ!」



学くんの顔を上げようとすると、片手でシートベルトを外してそのままあたしの胸におでこをつけてくる。

< 159 / 189 >

この作品をシェア

pagetop