溺愛王子様のつくり方

運命

「すみませんでした!」



翌日の朝。
出社してすぐに、社長ところに向かった。

1週間も仕事を休んでしまったのだから、当然のことだ。
普通の会社なら、クビになるところだと思う。



「顔上げなさい」



頭上から優しい声が降ってきて、慌てて顔をあげる。



「解決はしたようだね。学とのこと」


「あ、はい……」



こうして、話していてもやっぱりこの人が自分の父親だなんて信じることができない。



「それで……あの……」



さっきまでハキハキと話していた社長が、突如口ごもる。



「あの……?」


「あぁ、ごめん。学から聞いたようだね?」


「あ……はい」



──あたしの父親。
今目の前にいる人が、信じ難いけどあたしの父親なのだ。



「環にも会ったんだって?」


「たまたま……お世話になってたシェアハウスにいて……」


「あそこのシェアハウスに行ってたのか?」


「え?あ、はい」



社長みたいな人はシェアハウスなんて関わりがなさそうなのに。
すごく知ってる感じが不思議に思い、首を傾げる。

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