溺愛王子様のつくり方
「すごい運命だね」


「え……?」



突然〝運命〟なんて言葉を使う社長に、なぜなのかと考えても答えはでない。



「運命とかくっさ」



いつの間に、この部屋にいたのだろう。
後から声が聞こえる。

この声は、あたしが昨日までたくさん話を聞いてもらってたタマの声だ。



「環、来たのか」


「父さんに来いって言われたからねー」



相変わらず能天気な感じの話し方で、あたしの隣へとくる。



「そろそろ落ち着くんだろ?」


「まぁなー」



落ち着いた話し方の社長に対し、終始適当な返事しかしていない。
本当に親子なのかと疑いたくなる。



「あ、さっきの運命の話、俺がしてもいい?」



タマが思い出したように言う。



「あぁ。構わない」


「俺もさ、運命とは思ったんだよね。食堂のデーブルに置いてあった婚姻届を見た時に」



社長の言葉が終わるか終わらないかくらいで、タマの言葉が続く。

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