溺愛王子様のつくり方
「は?お前のことを好きに……?俺が?」



ソファーから立ち上がってあたしの目の前に来る。



「その方が結婚したことに意味もできるし」


「ふーん。好きになって欲しいんだ?」



感情の読めないような笑顔。
そんな表情であたしの頬に手を触れる。



「そりゃ……好きになってもらえたら嬉しいよ」


「好きにさせろよ」


「え?」


「好きになってもらえるようにじゃねーよ、俺が欲しいんだったらお前が落とせよ」



自己中心的な発言に聞こえるけど。
でも、あたしはそれでも彼が好きだった。



「うん、そうする」



あたしを好きになってもらいたいなら。
あたしが彼を落とせばいい。



──ぷっ



あたしが笑顔で言ったあと、歪んだ笑顔のまま彼は吹き出す。



「……え?」



何がおかしくて笑われているのか分からなくて。
ただ、そう反応するだけで精一杯だった。



「お前も他に好きな人作れば」


「え?」



笑われたあとのその言葉。
正直よくわからなかった。

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