溺愛王子様のつくり方
「なんで謝んだよ」



フッと笑って、あたしの頭に触れる。



「だって……」


「もう、恨んじゃいねぇよ。今では逆に感謝してるくらい」


「え?感謝?」



お母さんに会ったことも、話したこともないはずの学くん。
つい最近まで、ずっと恨んでいた存在だったのに。



「ちとせを生んでくれたこと。俺にちとせと出会わせてくれたこと。感謝してもしきれねぇよ」


「まな、ぶ……くん」



学くんの嬉しい言葉に胸の奥が熱くなる。



「ラブラブなところ、水を差すようで悪いけど。学、結婚はいつするの?」


「は?」



あたしたちが知ってるとは思っていない、学くんが怪訝な顔になる。



「だって、学とちとせ結婚してないでしょ?」


「は?なんっ……」



〝なんで知ってるのか〟
そう言おうとしたのだろう。

言葉の途中で、ハッとしたようにあたしを見る。



「あたしも知ってるから大丈夫だよ」



横に置いていたカバンから婚姻届を取り出す。

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