溺愛王子様のつくり方
あたしのため……?

やり方はおかしいけど、あたしのことをはじめから考えてくれていたの?



「こんな復讐してる俺のこと、お前が嫌になったらいつでも手放してやるつもりだった」


「学くん……」


「でも、そんなの無理だった」



学くんの言葉に胸がぎゅうっと締め付けられていく。



「俺と離れて、違うやつの隣にいるちとせなんて考えるのも嫌だった」



あたしの手をぎゅっと握る。



「こんな俺でごめん」



学くんの言葉にあたしは、必死に首を横に振る。



「ははっ、必死すぎ。首痛くなるぞ」



そんなあたしを見て、高校生のときのような本当に笑った顔を見せてくれた。

この顔。
この顔をあたしはずっと見たかった。



「学くんのバカ……」


「ごめんって……」


「これ、突きつけられたとき本当にショックだってんだからね。結婚してるから大丈夫っていう自信があったから」



葉菜さんにこの紙を見せられたときの、胸の痛みはいまだに忘れられない。

このあともきっとずっと覚えているんだと思う。

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