溺愛王子様のつくり方
「え?なに?気になる」



〝ダメ〟と言われれば言われるほど聞きたくなるものだ。

お母さんの病院で会ったことはこの前きいた。
小さい頃に会っていたんだなーくらいの認識しかなかったけど。



「ちとせ、学に〝カッコイイ!結婚する!〟って言ったんだぞ」



「え!?」


「はぁーなんで言うかな」


「ちとせはそんな昔から……」



それぞれが思いも思いに口にしていた。

しかし、小さい頃にそんなことを言っていたなんて。
記憶にないのは当然かもしれないけど、なんとも恥ずかしい。



「学も、わかった結婚しようって言ってたよな」


「だから、それは……」



学くんは見たこともないくらい真っ赤な顔をしてる。

小さい頃の約束なんて、そんなもの守られることなんてそうそうないのかもしれない。

でも、あたしたには約束を果たせたんだ。



「まぁ、その後すぐあんなシーン見たからな」


「そんな気持ちもどっかいったよ。すぐに」



遠い目をしてフッと笑う。



「学くん……」


「大丈夫。いまは、ちゃん気持ちあるから」



ニッコリ笑う学くんに、この笑顔は嘘じゃないということが分かってほっとする。

これからもこの笑顔は守りたい。

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