溺愛王子様のつくり方
一度は出したはずだった婚姻届。
でも、受理しないようにしていた学くん。

その理由だってもう知っている。

そして、その理由を聞いたってあたしの気持ちは変わらなかった。



「学くん」


「ん?」


「断ったらどうするの?」



なんて、少し意地悪してみたくて紙を破く振りなんてしてみる。



「ばーか、させるわけないだろ」



あたしからいとも簡単に婚姻届を奪い取る。



「へ!?」


「破くとかさせるかよ」



さっきまで心配そうな顔であたしを見ていたくせに。
すっかり楽しそうな表情に変わってる。



「どういうこと!?」


「もしもお前が嫌だって言っても、もう離さねぇよ」



グイッとあたしを引っ張って、あっという間に学くんの腕の中。



「まって!判断委ねるんじゃなかったの!?」



別に断るつもりなんてこれぽっちもないけど。
こうされると、なんだか腑に落ちない。

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