溺愛王子様のつくり方
見て見れば、いまだかつてないほど真っ赤な顔をしてる。



「みんなよ、バカ」



恥ずかしそうに手で顔を覆う。



「見せてよ。学くんのいろんな顔」



そっと、学くんの顔から覆っている手を外す。



「こんなんなるのお前だけだよ。昔から」


「ふふ。嬉しい」



あたしだってそう。
こんなにドキドキするのは学くんだけ。



「1回、マジでやばい時あって」


「え?」


「葉菜が来てたとき」


「あぁ……」



もうすこしでひとつになれるかと思ったのに、急に冷めた顔になっていた学くん。



「怖くて手なんて出せなかったんだよ。いつか傷つけるなら絶対に手なんて出すべきじゃないって自分に誓ってた」


「……学くん」



やり方はどうかと思うけど。
学くんは、学くんなりにあたしのことを守ろうとしていた。

それだけで充分だよ。



「たださ、その時」



少し気まずそうな顔になる。



「その時……?」



そういえば、学くんは朝まで葉菜さんといたなぁーと思い出す。

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