溺愛王子様のつくり方
「そ、それ……1番強い眠剤!」



空になったものをみてすぐに気がついた。
これは、一般のよりも強いと言われてるものだって。



「さすが、保険医だね」



彼は気に留めることもなく、ゴミ箱にそれを捨てる。



「そんな常用してたら、本当に体おかしくなっちゃうよ!」


「もう手遅れだよ。これがないとイライラするし。イライラおさめるためにも飲んでるから」


「使い方が違うじゃん!やめてよ!ねぇ!」



このままだと彼の身が滅んでってしまう。
そう思ったあたしは、学くんの腕を掴む。



「じゃあどうしろってんだよ。この薬ないと俺、女抱きにいくけど?」


「……っ」



イライラのはけ口なのだろう。
女の子を抱くことが、精神安定剤になっていたのだろう。

でも、お父さんに言われて結婚したいま。
それを簡単にしてしまっては、将来が安泰じゃなくなるから。



「じゃああたしを使えばいいじゃない!」



でも、どうにかしたくて。
ただ、それだけで。

この先どうなるかなんてわかんない。
でも、あたしはこの人の妻だから。

あたしを精神安定剤にすればいいと、この時はそう思っていた。

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