溺愛王子様のつくり方
「妻の仕事ぶりを見にきて何が悪いんだ」


「燿くんがいるって分かってて来たくせに」



学くんの行動なんてわかってる。
あの時からちっとも変わってない。



「俺のことをよくわかってるようだな。それなら話は早い」


「何が?」


「あいつと仲良くするのはやめろ」


「なっ……!」



親も兄弟も親戚もいなくなって。
天涯孤独になってしまったあたしの唯一の理解者だった。



「お前、俺が好きなんじゃないのかよ」


「それとこれとは話が違う!」


「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」



グイッと腕を引っ張られて、気づけば学くんの腕のなか。



「なによ……あたしのことなんて好きじゃないくせに」



口ではこんなことを言いながら、強引さに嬉しく思ってる。
あたしもなかなかの天邪鬼だ。



「好き……になんかならねぇよ」


「だったらなんでよ……」


「俺のものには変わんねぇだろ。俺の嫁だろ」

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