溺愛王子様のつくり方
「お前、風呂でも入ってこいよ」


「え?ご飯……」


「いいから先に入ってこい」



家についてすぐに、あたしの背中を押してお風呂まで連れていかれる。



「や、着替えとか持ってきてないし」


「持ってきとく」


「えぇ……」



強引だけど、妙に優しい学くんな首を傾げながら、洗面所のドアを開ける。



「ふぅ……」



今日は、そんなに社員はこなかったけど書類整理が忙しくてお昼ご飯の時間もそんなに取れなかった。



服を脱ぎ終えて、浴室のドアを開ける。



「疲れた体には暖かいお湯が1番だね」



独り言を呟きながら、いついれたのか張られてるお湯につかる。


予約でもしていたのだろうか。
ちょうどいい暖かさだ。

なんだろう、このくすぐったさ。
あたしのことなんて、どうでもよさそうなのに。
実際は、どうでもいい扱いなんてされてない。



「……好き」



気持ちが溢れてしまいそうで、口元までお湯につかる。

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