溺愛王子様のつくり方
「お、上がったか」



学くんが置いておいてくれた部屋着に着替え、髪の毛を拭きながらリビングに行くとソファーから立ち上がる。



「お湯、ちょうどよかった」


「だろ?スマホで管理できるようになってんだよ」


「さすがはお金持ち……」


「なんだそれ」



プッと吹き出す学くんの表情はとてめ楽しそうで、自分の利益のためにだけにあたしと結婚したということを忘れそうになる。



「つーか、髪の毛。ちゃんと乾かさねぇと風邪引くぞ」



すぐ側に歩いてきて、あたしの手からタオルを奪って乱暴に髪の毛を拭く。

でも、その乱暴さが心地よく感じる。



「学くんも……お風呂」


「ん。ご飯食べてからでいい」


「そっか……」



髪の毛を拭かれて、時たま触れる手にドキドキして。
離れてほしいけど、でも離れて欲しくなくて。
自分がどうしたらいいのかもわからなくなる。



「ご飯、食べようか」



学くんが食卓テーブルを指さす。



「え!?これどうしたの!?」



テーブルの上に並ぶのは、どうみても誰かの手作り料理。

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