溺愛王子様のつくり方
「ごめん……あたし何も知らなくて」


「知るわけねーじゃん。でも、その後も何も言わなかった俺がそこは悪いから」



気にすんな。とあたしの頭をぽんぽんっと撫でてくれる。

その手つきが暖かくて。
そして、そう話す学くんがどこか寂しそうで。



「お前、なんで泣くんだよ」



気がついたらあたしの瞳からは涙が出てた。



「何も知らなかったけど、学くんのことたくさん責めたなって思って」


「まぁ、俺そこからお前のメッセージ一切見てないから大丈夫」


「え……?」



ひどい言葉の数々を見られてなくてよかったとは思うけど。
それでも、あたしのメッセージを見てなかったことには疑問が募る。



「俺、母さんのことがあったあたりからお前への気持ち冷めてたからさ」


「そっか……」



ひどいことを言われている気がする。
でも、なんでだろう。
よくわかんないけど、やっぱり好きだって思ってしまう。

そのあと食べた学くんのお手製料理はどれもおいしくて。
でも、涙のせいですこししょっぱい感じがした。
初めて食べた二人でのご飯。


いつか、あの日の料理美味しかったねって
二人で笑える日が来たらいいのにって思った。

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